よこすかキャリア教育推進事業
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もっと良いものを作りたい

 松月製菓は、明治43年創業で108年続く老舗の和菓子屋です。5代目として、現在、職人修行8年目を迎えました。
 当店の上生菓子は、店で手作りしています。季節ごとに変わる和菓子を、全て作れるようになるまで時間もかかります。見た目の美しさと正確さ、さらにスピードが求められます。
 職人になりたての頃は、工房に籠り、黙々と作るのが苦になることもありました。作れる和菓子も増えてきたので、もっと良いものを作りたい気持ちが強くなり、最近は、工房の仕事が楽しくなってきました。職人さんの向上心が仕事へと突き動かす思いが分かってきました。
 そして、今年3月末にお店のリニューアルを機に、実演スペースを設けました。見ても楽しいお店へと足をお運びいただけたら嬉しいです。

自分の代で潰せない

 和菓子屋に生まれたものの、他にやってみたい職業がありました。両親に服飾関係に進みたいと話すと、後を継いでほしいと説得され、両親の思いを汲んで、大学で経営学を学び、店を手伝いながら製菓専門学校にも通いました。完全に納得しないままのスタートでしたが、祖母の話しで継ぐことを自らの意志で決断しました。
 2代目の祖父に先立たれた後、祖母が4人の子どもを抱え家業を継ぎました。女手一つ、並大抵の苦労ではなかったと思います。祖母を心の底から尊敬しています。その苦労のお陰で今の自分があると思うと「潰してはいけないな」と思いました。
 同時に、松月製菓の味を守り続けてくれた職人さんも憧れの存在です。職人さんも高齢で、修業期間を考えると、一刻も早く覚えなければならないと思いました。そして、ご贔屓にしていただいているお客様の期待を裏切らない仕事をしたいと思います。

自分にも伝えられることがある

 キャリア教育プログラムには、商工会議所青年部の先輩から促され参加を決めましたが、修行中の自分にできるだろうかと心配しながら当日を迎えました。
 和菓子屋の仕事の話しから始め、職人が最初に覚える、餡を生地で包む「包餡(ほうあん)」を体験してもらおうとお手本を見せました。すると、子ども達から歓声が上がり、さっきまでの緊張がすっかり消えていました。「難しい」と言いながら挑戦してくれる中学生の笑顔を見たとき、一気に距離が近づいた気がしました。手ほどきをしている自分も自然と笑顔になっていました。
 伝える難しさはあったのですが、キャリア教育プログラムで、自分にできることがあると知りました。
 今は、便利な道具に囲まれて、自分が追求しなくても済んでしまうこともあるので、敢えて考える・要領を学ぶといった取り組みは大事なのかなと思いました。大人にとっても、伝え方や子供の反応に気づかされ、励まされ、帰ってからのモチベーションになっていることに気づきました。

もの作りの楽しさを伝えたい

 商工会議所青年部の例会で、リノベーション街づくりを行ない地域の活性化をしている先駆者を訪ね、地元横須賀でも新しい発想で、集客に結びつけた方と出会い、話しを聞いたことで刺激をもらいました。
 若い人たちに横須賀に来て見てもらって興味を持ってもらいたくて、商工会議所青年部でイベント企画をしたこともありました。動いてみると、いろんな縛りがあって、結果的には断念したのですが、やろうとしたことで分かったことがたくさんありました。
 エリアごとに違った顔のある横須賀は、コンセプトを持たせた街づくりに適しているのではないかと思います。環境も良いので、若い人に来てもらえる雰囲気づくりや横須賀ならではのイメージを街づくりに活かしてもらえたらと思います。伝統も時代にあった新しさを取り入れながら引き継がれています。温故知新で街の活性化が出来たら素敵だと思います。
 中学生にも微力ながら、私にできるもの作りの良さや、コツコツと技を積み重ねる大切さを伝えていけたらと思っています。

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