よこすかキャリア教育推進事業
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コミュニケーションアイテム

 2002年息子と共にペンライトの会社を設立、長年勤めた製薬会社を早期退職し、代表取締役を務めています。
 きっかけは、息子が芸能プロダクションの知人からコンサート等で人気のペンライトの粗悪さに、製作の相談を受けたのが始まりでした。絵を描くことが得意で畜光材にも興味があったため、良いものを作ろうと試行錯誤が始まりました。「明るく・きれいで丈夫」はもちろん、デザインも差別化しブランド化を図りました。
 道筋が出来た今でも、製造委託先の海外に出向いては何度も施策を繰り返し、一つのデザインのものを作るのに半年以上を要します。検品は日本で行ない、安全対策にも余念がありません。
 今では、弊社の商品を気に入ってもらい、多くのアーティストからオファーをもらうまでになりました。数万人規模のコンサートで、弊社のペンライトが輝いている様子は圧巻です。会場全体が一体感に包まれる中、幸せな笑顔を見ると、それまでの苦労は喜びに変わります。
 ファンの方にとっては、ペンライトはコンサートでは欠かせないコミュニケーションツールであり、思い出ごと持ち帰ってもらえる大切なアイテムなのです。

小さなことでも町全体で

 私は、社長業の傍ら、地元ハイランドの自治会長と近隣小学校の「見守り隊」を12年勤めています。
 50年の歴史がある自治体は、住民も高齢化、空き巣被害が多発し悩みの種でした。高台特有の立地条件を逆手に取り、防犯カメラを侵入経路各所に設置することで、被害を激減させました。防犯の抑止力になると同時に、徘徊する人の形跡を追うことにもなっています。
 災害時の対応は、高台で津波は免れられても、活断層が通っている地域であることから、緊急車両の進入が困難になり、火災対処が必須でした。火事が起こっても、自分たちで初期消火にあたろうと、2年間かけ行政と話し合いの末、消火栓を利用し全世帯の消化が可能なスタンドパイプを16カ所に設置、消防訓練の参加率も、市内ナンバーワンの地域になりました。
 小さいことでも、町全体で取り組んでもらうことに大きな意味があります。その協力が生きた結果、良いことはあっても、悪いことは無いと思っています。

ホスピタリティの心で

 よこすかキャリア教育推進事業のMTTは、数年前に横須賀商工会議所からのFAXを見て、一度行ってみようと参加し始めました。今では、時間が許す限り参加を申し込み、ライフワークのようになっています。
 中学生相手のディスカッションというのも面白いです。年頃の子どもが興味を持ちそうな雑学を交えながら、仕事の経緯や実物のペンライトを紹介すると、瞳を輝かせて興味を持ってくれます。
 テーマにある「働くこと」や「仕事」については、私が公私ともに大切にしてきたホスピタリティの心を一番に伝えています。大人は長い間、効率や利益を重視した考え方に慣れ、世の中が全体的に見失っていることも多いと思います。仕事は業種を問わず、最高のおもてなしホスピタリティの心が根底にあって成り立っていくべきだと思っています。子ども達には、若い今から、その意識を持ってほしいと思います。
 モノを買ってくれる人、お金を払ってくれる人だけがお客様ではなく、共に働いている人に対しても、思いやりの心を示し、人と気持ちよく関わっていくことを、私が持っているストーリーを例に伝えています。子ども達の感想文からも、私の話しをよく聞いてくれていた様子が伝わり、集中さがよく表れています。
 キャリア教育のMTTの参加の前後は、家族での話題に上がります。今度はどんな子どもがいるのか。また、終わってからも、どんな様子だったかなど、自分だけのものでは無くなっているのです。
 子ども達がどんな選択をし、また、状況に変化があったとしても、希望をもって生きてほしいと願っています。

大人が魅力になる

 キャリア教育とは相違する意見かもしれませんが、私は、横須賀の子ども達にはどんどん外に出て自分の世界を広げてほしいと思っています。
 私自身も、サラリーマンから今の仕事をするとは想像もしていませんでした。視野を広げてみると「文化」というものに、意外と仕事があると思っています。産業へつなげることで、自分たちができることが広がることになるかもしれません。
 私が、長年子ども達とコミュニケーションしているのは、大人は自分たちの味方だと理解してほしいからです。子ども達を叱るだけじゃなく、普段から顔見知りになって、子供の名前を覚えて呼び合う信頼関係はとても大切だと思っています。成長した子ども達が、今でも私に挨拶をしてくれます。
 子どもを守れない地域が、お年寄りのことも守れないと思います。連続している人間関係を作るというのは、横須賀のキャリア教育推進事業の「地域の子どもを地域で育てる」という概念とも相通じることだと感じています。

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