よこすかキャリア教育推進事業
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ガテン系な職人

私は津久井浜に、横須賀初のバルーンショップをオープンして5年目になります。一言で、バルーンアートと言っても、各店舗、アーティストによって得意なジャンルや技術は様々です。お祝いやギフト用のアレンジ販売やブライダルの出張、バルーン教室も行っています。よく、イベントで大道芸の依頼を頂くのですが、パフォーマンスは専門外です。初めての仕事は市内小学校100周年記念で、バルーンリリース1000個と、校門のアーチの飾りつけでした。いろんな注文を形にしてきましたが、原寸大御神輿は苦労しました。本物の写真から、頭の中で設計図を組みたてました。マニュアルがなく、ほとんどがアーティストのオリジナル作品です。華やかなイメージの仕事と思われがちですが、実際は50キロのボンベの持ち運びや高所作業での飾りつけなどがあり、ガテン系の職人的な仕事です。

結婚と離婚がきっかけに

私がバルーンアーティストになったきっかけは、シングルマザーとして娘との生活を支える立場になった時、以前自身の結婚式で使ったバルーンデコレーションの事を思い出したからです。初めて見た時、言葉に出来ないくらいの衝撃と感動で胸がいっぱいでした。私も仕事として出来たらと思い、都内の養成スクールで技術を学び、卒業後は、墨田区の風船問屋さんに縁あって働かせて頂くことが出来ました。独立を視野に入れた私を応援してくださり、とても良くして頂きました。
子育てを誰にも頼れない中で、娘を心配しながら仕事へ通い、また、娘は私を困らせまいと気遣い、帰りを待っている健気さがたまりませんでした。2年半の修行を終え、念願の横須賀への出店に踏み切りました。開店後も、不安定な収入を補うため、平日は飲食店のアルバイトを掛け持ちしていました。安定収入の転職も考えましたが、結局、バルーンの仕事以外思いつかなかった。どうせ貧乏するなら、好きな事で頑張ってみようと思い、バルーンの仕事一本に集中しました。自分の気持ちがハッキリした後、迷いはなくなり、出来ることを全てやろうと積極的に行動しました。

他にないプレゼンのチャンス

よこすかキャリア教育推進事業へは、MTTをしていた知人から紹介されて参加しました。私の授業内容は、パーツを組み合わせたバルーンアートの魚です。プロは数分で仕上げますが、中学生には基礎から教えるので、35分くらいか、時には時間内に収まらない場合もあります。
バルーンを見た瞬間テンションが上がる子どもの気持ちも理解しつつ、「仕事」を意識してもらうために、私が、600円の売値と伝えると、ある子が、「自分は1500円で売らないと割に合わない」と言いました。作るのに苦労した分を価格に反映させていたのが、中学生らしく面白いと思いました。
参加して分かったのは、方結びを知らない、また、しっていても結べない子どもが多い事に驚きました。最近では紐を結ぶ場面が少なくなっているのだと感じました。ささやかながら、私の授業を機に出来ることが増えてくれると嬉しいです。
バルーン教室の運営もしていますが、キャリア教育プログラムのMTTは、自身の仕事について伝えられる所が良いと思っています。他にないチャンスを、私も楽しく参加させて頂いています。

地域の価値

どの業界でも人手不足が叫ばれていますが、バルーン業界も、アーティスト人口を増やそうと努力しています。デコレーターと呼ばれる人や、プロを目指したい方がいれば、相談を受け付けています。横の繋がりを大切にして、業界全体のイメージアップを図っています。一人では、難しいことも、異・同業種に関わらず仲間を作って協力し合う、いい関係性の中でいい仕事をすることは、お互いの価値を高める結果に繋がると思っています。
バルーンはコミュニケーションアイテム、集客の入り口としての役割があると思っています。地域の活性化や盛り上がりの為になるのであれば、大いに役に立ちたいと思います。
イベントなどで異業種の方々と話題に上がるのが、「自分たちの価値に地元が一番気付いていないのでは」との声が上がります。それはとても勿体ない事だと思います。キャリア教育にも通じるテーマで、大人たちが地域の魅力を知り発信する。自信を持って子どもたちに伝えていく好循環な地域になっていくことが未来の希望なんだと思います。

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