よこすかキャリア教育推進事業
ホーム  >  よこすか働き人  >  栗原 貴大さん
福祉は感性

私は、ホテルレストランの調理師から福祉業界への転職をきっかけに横須賀に引っ越して来ました。三十歳を過ぎ、料理の仕事は好きでしたが、もう少し人と関わる仕事がしたいと思い、ヘルパーの資格を取りました。知人から紹介された施設に勤めることになったのがこの世界に入ったきっかけですが、働き始めた頃は、障害について知識がなかったとまどいと、新天地での心細さで寂しかったことを今でも思い出します。現在のサポートセンターかいふうに移り6年目、今は利用者さんとの関係性が深まり、風光明媚な横須賀で楽しく仕事をしながら、ずっと住み続けたいと思っています。
仕事は、幾つかあるグループの取り纏めで、体が動かせる人たちは、畑仕事や海岸の清掃作業などで積極的に外へ連れ出しています。仕事に就いて少し分かった事は、「福祉は感性」が大事なんじゃないかと感じています。知識があればいいという訳ではなく、カテゴライズされない視野で豊かな感性を磨く事が、仕事にも活きてくると思っています。チャリティーフェアやクリスマス会、スポーツ大会等の盛り沢山のイベントも実施しています。一人ひとりの個性に合わせた内容で、利用者さんが自分で選択し本物の体験ができることを常に考えています。

残り30%の補助で100%に

初めてのMTTはどうして良いのか分かりませんでしたが、初対面の生徒と、テーマに沿った話をするのがミッションでした。私は、子どもたちが話しやすい状況をつくるため、緊張をほぐす事から始めました。お互いに何も情報がない中から、どんな人なのかを知り、限られた時間内で考えを引き出す難しさも経験しました。子どもたちは、「福祉」=「老人介護」のイメージが強く、障がい者についても分からない事が多いため、辛い仕事と思われていました。多くの人が知らない事で誤解をしていて、知っている私たちにしか話せない事があると思いました。利用者さんとは、言葉のコミュニケーションが無理でも、相手に伝わる表現を探し、私達が安心できる存在である事を伝えて信頼関係を築く努力をしています。私たちは、利用者さんが行なった70%の残り30%を補助し、100%にするのが仕事です。健常者でも一人で仕事をしている訳ではないので、どんな仕事も変わりはないと、中学生に話しています。

未来は、一瞬の積み重ね

 子どもたちには必ず、夢を聞くようにしています。子どもたちの夢には雑念がなくキラキラと話す姿が良いです。夢はどんな形であれ、持ち続けて欲しいし諦めないで欲しいです。私も、精神面を鍛える為に習っている趣味の極真空手で、子どもたちの育成を手伝っています。いつか黒帯を取って指導者になるのが私の夢です。子どもたちを見て思うのは、大人も一緒になって汗を流す経験をして欲しいと思います。共有の体験は共感も生まれると思います。
MTTで中学生と話す機会を頂いて、自分の過去を振り返ってみると、厳しい料理業界は、「仕事は盗んで覚えるもの」それが私たちのスタンダードでした。考えられない過酷な現場でしたが、だからこそ今の自分があると思っています。今の子にその厳しさが通用するとは思っていませんし、今は今で大変な時代です。その子なりの経験を積んで身を立てて欲しいと思います。できれば人が嫌がる事を率先してやる事、謙虚である事はどんな職場でも大切な事だと思います。
 未来は、一瞬の積み重ねです。毎秒楽しく生きる事、あまり先に目標を置いてしまうと悩みが増えてしまうから、少し先の目標に向かってベストを尽くす。何でもないような事でも、小さな積み重ねをしているうちに、後になって効いてくるかも知れません。

ページの上に戻る