よこすかキャリア教育推進事業
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相手を受け入れることが信頼の鍵

「介護タクシー」は、歴史が浅いため、子ども達にも認知度は低く、高齢者が利用するものと思われるようですが、障害者や妊婦さん、怪我をされた方にも利用頂けるタクシーです。
独立する前に勤めていた介護の仕事から、いろいろな事を学ばせてもらいました。特にお年寄りとのコミュニケーションで信頼関係を築くには、相手を受け入れ真摯に接する事が大切です。意志の疎通が難しい方とのコミュニケーションは、相手の満足の百パーセントに近づける努力を続けていると、自然と気持ちが伝わり、理解できるようになってきます。穏やかな介護が出来るように、ひとり一人に必ずあるリラックス出来るキーワードを、その方の過去の話や性格から探し出します。その言葉を見つけられた時には、なんとも言えない嬉しさで、「やった!」と心の中で感激しています。

中学生に理解出来る言葉を仕事にも活用

キャリア教育のプログラムには、商工会議所青年部の先輩MTTの手伝いから始まり、現在は、「介護タクシー」の個人事業主として参加をしています。
お仕事紹介プログラムでは仕事の車を見てもらいます。車いすを乗せる昇降機を動かすと、「乗ってみたい」と言って盛り上がります。子ども達には馴染みが薄い仕事だけに、難しくならず、分かりやすい説明を心がけています。後の感想文に、分からなかった所、良かった所を書いてくれるので、次のプログラムに向けて考え直す参考にさせてもらっています。中学生が分かりやすかった説明を、介護を依頼されるご家族にも使うと、理解して頂きやすいので、仕事現場にも活用しています。

若い人と会うと、表情が明るくなる

中学生が、職場体験で老人ホームやグループホームに行っていると聞いて、良いことだと思いました。私は、介護現場にいる時に、子どもと触れ合うお年寄りの表情が、明るくなる嬉しそうな姿を見ていました。高齢者も若い人と会うことを楽しみにしているし、子ども達にとっても高齢者と関わることは決して悪いことにはならないと思います。可能ならば、もっと長い期間、お年寄りと関わりを持てる機会を、教育の中で取り組んでもらえると良いのではないかと思いました。
学業が中心の中学生には、やはり勉強の大切さも必ず伝えるようにしています。私は勉強熱心ではなかったので、大人になって資格を取る際に苦労をしました。勉強よりも部活動のウエイトが高かったので、その時の先輩後輩とは今でも付き合いがあります。そして、よき相談相手として、助けてくれている事が、心強い存在です。長く付き合える仲間と良い関係が築けるのも、時間や行動を共有できる学生の時期だと思い、中学生にも大切な事として伝えています。

ちょっとした冒険で、一歩踏み出す

プログラムに参加し、人前で話す事に対して成長した自分に、何よりも驚いています。その変化を感じる出来事が起きたのは、入部を検討していた商工会議所青年部で開催された「自分の仕事を5分でプレゼンテーションする」という趣旨の例会に見学へ行った時でした。
見学者の私に、「やってみませんか?」と声が掛かりました。突然のことで資料もなく、準備時間も短かったのですが、慌てずに行うことが出来ました。要点を絞った説明や時間配分が、中学生に話をしている中で、自然と養われていたのだと気が付きました。経験が実践でも活かされた事に驚いた瞬間でした。
ある中学校のキャリアプログラムに参加した時に、名刺交換をさせて頂いたMTTの方から、仕事の依頼を受けることもありました。異業種の方でしたが、一度お会いしている安心感もあり、ましてや同じMTTということで、気軽に声を掛けて頂けました。自身の仕事をPRする場所になった事にも、参加の意義を感じました。
MTTを経験して、子ども達には、ちょっとした冒険も大事な事かも知れないと思いました。こんな時代だから、安定を求める気持ちは否めませんが、知らない場所に一歩踏み出す。自分の中の変化を求める事は、必要なのだと思います。
そういう私も、中学生にエールを贈るだけでなく、MTTによって世界が広がった事もあり、新たな目標に向かって走り出そうと頑張っているところです。

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