よこすかキャリア教育推進事業
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安心・安全を売る仕事

 よこすかはタイヤ専門店が多い地域と言われています。主に屋外の作業が多い仕事。夜中や早朝、暑さ寒さの中、雪の日、どしゃぶりの雨の中でタイヤを交換したこともありました。
祖父が始めたのが昭和二十八年、現在は祖母、二代目の両親、三代目の僕との三世代で切り盛りしています。中学生の頃から家業を継ごうと決めていました。僕にとって後を継ぐことは自然なことでした。仕事の幅を広げたくて、自動車整備士の資格も取りました。
テレビCMなどでもタイヤの重要性を目にすることがあると思いますが、車に興味を持つ若者が減り、人々の車離れが増えている中で、実際は何となくしか伝わってないような印象です。車の燃費や事故率も影響しますので、頻繁に車を使うのであれば月に一度、あまり使わない場合でも、3千~5千キロくらいで点検をして欲しいと伝えています。
僕らタイヤの健康診断専門家はタイヤのメンテナンスを通して皆さんの「安全・安心を売っている仕事」と中学生へ説明しています。

飽きさせない工夫

昨年のポスターセッションでは母校からMTTデビューすることになりました。仕事上、大人にプレゼンテーションをすることはよくあるのですが、子ども達にはなじみが薄いタイヤ屋さんの話をどうしたら上手く伝えられるだろう?僕の話し方は大丈夫だろうか?など、今の中学校の様子も分からず、自分の中学校時代のイメージのままだったので、始まるまで心配でした。
「子ども相手なら、面白くした方が飽きさせないよ」と相談をした人からもらったアドバイスを参考に、プロジェクターを使い見やすく動きのある内容にしたり、実物のタイヤを持ち込み、エコタイヤと普通タイヤの性能の違いを見せたり、「タイヤはなぜ黒い?」のクイズを出題し考えてもらったり、「地面と接しているのははがき4枚分の面積で支えている」など、まだ車を運転しない子どもでも感心を寄せてくれることに、うれしさを覚えました。
久しぶりの中学校は、先生も生徒も昔と変わっていましたが、手探り状態だったMTTの僕の話を大人しく聞いてくれて、雰囲気も良くやりやすかったです。

僕が一番変わったところ

洋品店で職場体験した子が、「今度から買い物をするときには、気をつけようと思った」と言いました。どういうことかと聞いていると、お客さまが広げた後の洋服をたたみ直す手伝いをしながら、お店側からすれば、「商品は大切なもの」と教わり、お客さんとしての自分は今まで、「商品を少し雑に扱っていた」と反省していました。僕は、中学生でもそんな風に気付ける子がいることに感心しました。僕達の頃にはなかった職場体験で、子ども達はいろいろな思いを持ち帰って来る。早くから働く人の思いを知る事が出来れば、その先の進路も変わっていくだろうと感じます。
ポスターセッションで仕事説明の時に使う「タイヤのローテーション」を「タイヤの席替え」という表現に変えてみました。「席替え」は子どもに受け入れやすい言葉で、仕事でも使ってみるとお客さまにも伝わり易くなりました。MTTとして、子ども達にどうしたらわかりやすくなるか試行錯誤することは、僕にいろいろな考え方があることを教えてくれました。せっかくMTTの機会を与えてもらったので、こちらも何かを得たいし、仕事では得られない発見ができたら良いと思いました。
子ども達と同様、相手を思い、「発想する事」が、自分が一番変わったところです。

もっと人に頼ってもいい

僕はSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を仕事の情報発信として利用しています。早くから、プライベートでも使っていたので、今では便利には変えられない、生活に欠かせないコミュニケーションツールです。現在、大人以上に使いこなしている子ども達には、「それだけ」にならないで欲しいです。困ったことや迷ったりしたら、つぶやくだけじゃなく直接、人に話を聞くなど、もっと人を頼ってもいいのだと思います。僕も仕事やプライベートでは、「大事なことは、会って会話をする」ようにしていて、直接的な関わりを大切に感じ、特に自分より目上の人と接する事を心がけています。知らないことをたくさん聞ける。思いもよらない話が出ると面白いし、ためにもなります。
職場体験の受け入れは仕事の性質上、難しいのですが、学校へ行って話す事なら協力できる。そう思って参加しています。参加した前と後で、変わった自分も知りました。MTTとして活動の場を広げた僕にとっては、今までと少し違った責任を背負った感じで、下手はできないなと思いましたが、仕事とは違う楽しさをプログラムでは感じています。

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