よこすかキャリア教育推進事業
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「伝えること」を売っている仕事

大正三年創業から続く写真館の三代目です。写真館に来るお客様や、出張撮影、フリーの写真家としては、広告や雑誌、書籍の写真撮影の仕事もしています。
写真家の仕事は、これから流行らそうとしている物や、売り出そうとしている人、流行を仕掛けている側にいることで、間接的にでも人を動かすことができる。
写真は、見る人に解りやすい影響を与える魅力があるんです。
子ども達に「カメラマンはどういう仕事か?」と聞かれたら、「伝えること」を売っていると話しています。

撮影現場でチームワークの楽しさを知った

家業の写真館を手伝いながら、フリーの写真家として、東京に事務所を構えたのは二十七歳の時。今思えば、自分はラッキーだと思います。でも、学生の頃は家業を継ごうと真剣に考えてはいなかった。勝敗がはっきりつくものに魅力を感じていましたから、勝負のない写真というものに、興味を持てませんでした。
 僕に写真家の道へと進ませた出来事が起こったのは、大学四年の時。体調を壊し行けなくなった先輩の代わりに、カメラマンのアシスタントとして、撮影現場に行くと、そこは、お菓子のパッケージの撮影現場でした。僕はカメラマンにこんな仕事がある事を初めて知ったし、大勢のスタッフで一つの物を創り上げる「チームワーク」が楽しかった。
同級生は、すでに出版社やカメラマンのアシスタントで現場を見て着々と将来の進路に向けて動いている中で僕は、自動車屋でアルバイトをしながら、ダート・トライアルに夢中でした。
初めてのアシスタント経験で現場の魅力にすっかりのめり込み、将来の事より、やりたいことを優先させて、出遅れてしまった時間を取り戻そうと、カメラマンの仕事を充実させる日々へと、変わっていきました。

教室という学習現場でやることは何をしようと教育につながる

僕が中学生と最初に関わったのは、「お仕事教えます」というプログラム。
これは、新しい刺激になると思いました。
子ども一人ひとりに役割を与え、彼らの手で教室にスタジオを創り上げます。子ども達が自主的に動ける空間を、僕がどれだけ作れるか?一方的な押し付けにならず、できるだけ受け身じゃない状態にしてあげたかった。
友達同士で教え合い、協力し合いながら、「自分達でやり遂げた」と感じてもらう事を一番大切にしたかったですね。高い機材を扱わせるので、こちらも勇気がいることもある。でも、まずは信頼してあげることが先なんだと思います。
やらせてみて思ったのは、意外にも子ども達は「任せればやるなー」という感じです。「何とかして」と言えば、何とかできる。今は、「積極的に動かなくてもよくなっちゃった時代」なだけで、やらなきゃいけない場面になれば、ちゃんとやります。本能的なものは、昔と何も変わっていないと思います。
中学校の教室という、学習現場に足を踏み入れて行う事は、全て教育につながるんだと思います。一つの目的に向かって一緒に創り上げた「特別な時間を共有」したことが大切なんだと思っています。

未来へ向けた新しい仕事を作るその力を与えたい

僕ら大人は、既存のものしか教えてあげる事ができないですよね。既存や過去の仕事の歴史を話しているにすぎない。
これから必要とされるのは既存じゃない物。子ども達にとって大切なのは、未来へ向けた新しい仕事を、子ども達の手で作り出す能力です。その発想力や創造力を養う、その力を与えたい。
僕らは子ども達に、「今あるものだけで十分」と現状に満足されたくはないですよね。その為に教えているんだと思うんです。
僕らを特別な存在にしない。自分達にもできる可能性が十分あると解らせてあげたい。仕事の楽しさを見せてあげれば良いと思います。
新しい事には子どもの方が敏感で、あっという間に習得します。大人は思い切ってもっと意見を聞いて、任せてみてもいいと思います。きっと、彼らの方がすごい事をしてくれますよ。
今後、社会人から学んだ技術を、外へ向けて発信する学びを表現できたら、子ども達の可能性を引き出してあげる再発見ができるのかも知れません。

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